足のトラブル
水虫
水虫は、白癬菌(カビ)が皮膚、爪などに感染する疾患です。ケラチンという蛋白を栄養源に生きているカビなので、ケラチンの豊富な皮膚の表面の角層に感染します。
一度治ったように見えても繰り返し再発するやっかいな病気の一つです。
特に夏になり、汗をかくようになると水虫の原因になる白癬菌の活動が活発化し、かゆみや目に見える症状が出てくるようになります。夏には5人に1人は足白癬、10人に1人は爪白癬と言われています。
しかし、秋冬の低温で乾燥した環境では白癬菌が活動できないため症状が見えず、治ったように気がしてしまいますが、条件が合えば症状がすぐに再発しますので、根気よく治療を続けることが重要です。
最近は、秋冬でもブーツや通気性の悪い靴を履くことが原因となって白癬菌の活動に向いた高温多湿の環境を作ってしまい、一年中水虫の症状に悩まれる方も多くいらっしゃいます。
水虫には、足の指の間の皮がむけたりただれたりする趾間型と、足全体に小さい水疱ができる小水疱型があり、一般的にはこの2つが水虫の大半を占めています。慢性化すると足裏全体が硬く厚くなる角質増殖型へ変化していきます。白癬菌が足の爪に感染する爪白癬もあり、爪が白く濁ったり、厚くなったりします。
また、水虫によく似たかゆみや水疱ができる他の病気もありますので、水虫だと思い込んで市販薬を使ってしまう方も多く、かえって症状を悪化させてしまうことがあります。
水虫は、白癬菌の有無を確かめ、いかに早く・継続的に行うかが重要になりますので、気になる症状がある場合には、どうぞお早めに当クリニックへお越しください。
足の水虫の治療は塗り薬が中心となります。 爪は抗真菌薬を内服、外用剤ともに適応になります。外用だけでも効果の高い薬が発売されました。ご高齢の方でも安心して治療できるようになりました。また、内服も20年ぶりに新薬が発売となりました。
かゆみや見た目の症状が治まるとつい薬を中断したり忘れてしまいますが、治ったと感じても、医師の指示した期間は必ず続けるようにしてください。
そして、白癬菌の好む環境を作らないよう、通気性のよい靴や靴下を履いたり、帰宅後はすぐに足を洗ったりして、常に清潔を心がけましょう。
いぼ
いぼは、加齢が原因で生じるものから、100種類以上あるウイルスが原因となるものまで様々なものがあります。全身のあらゆる場所にできる可能性があり、その種類によって症状も異なります。
特に、いぼの大半を占めるウイルスが原因となるものは、正常な健康な皮膚には感染できないと考えられていますが、小さな傷があるとそこからウイルスが侵入し、感染してイボをつくると考えられています。また、時間が経つと広がったり他の人に感染させたりする怖れもあります。
いぼは、ウイルスが残っていれば、何度でも再発します。しっかりと完治するまで治療を継続する必要があります。治療は、症状によって異なりますが、液体窒素によって患部を凍結させ、ウイルスを表皮の細胞ごと破壊していく方法が基本になります。1から2週間毎の通院が必要になります。
多くの場合、1回で治すのは難しく、何回か繰り返してやっと治るというのが通常です。根気強く、治療していきます。なかなか治らない方には漢方(ヨクイニン)を内服したり、角質が厚い方はメスで丁寧に削ったり、薬剤で焼灼したりします。
たこ・うおのめ
たこ・うおのめは、皮膚の一部が慢性的に圧迫や摩擦による刺激を受けて皮膚が厚くなる症状が特徴です。
たこは、皮膚が外側に厚く盛り上がりますが、芯はありません。うおのめは、厚くなった角質が皮膚の内部に向かってくさび状に芯ができ、ひどくなると上から押されるなど少しの刺激でも痛みを感じるようになります。
たこ・うおのめの原因
- 合わない靴を履いている
- 長時間の歩行する
- 姿勢や歩き方が悪く足に余計な力がかかる
- 年齢とともに脂肪組織が減って骨が出っ張る
たこ・うおのめの治療は、痛みが強い場合は貼り薬で硬くなった部分を柔らかくして取り除いたり、メスを用いて外科的に取り除いたりします。
可能な限り原因を除去し、再発を防ぐことが大切です。
顔のトラブル
にきび
にきびってどんな病気?
にきびは90%の方が経験する身近な病気です。皮脂の多い部分にできやすく特に、顔に出来ることが多く、赤みが強ければ目立ち、治っても痕を残すことが多いです。男性は男性ホルモンの影響でニキビができやすく、ひげを剃ったりする生活習慣が治りづらくしてしまう場合もあります。最近は治療法も進んで早期から治療出来るようになりましたので、是非医療機関をご利用ください。
にきびループ
にきびができたり治ったりを繰り返す状態を、にきびループと呼んでいます。
治療してもくり返してしまう、にきびループをとめられないのは、隠れにきび(白にきびや黒にきび)をそのままにしてしまっているからです。
炎症を起こして赤くなったにきびのほかにも、赤くなる前のたくさんのにきびが隠れている可能性があります。隠れにきび(白にきびや黒にきび)と赤いにきび両方を治療する事が大切です。
にきびの治療
にきびの治療は、過酸化ベンゾイル、アダパレンや抗菌薬などを使用します。
アダパレンは、炎症のない白にきびや黒にきびに効果が、抗菌薬は炎症を起こした赤にきびに効果があります。
また、過酸化ベンゾイルは赤にきび、白にきび、黒にきびそれぞれに効果があり、実際には患者さんごとの症状に合わせて、これらを組み合わせた治療を行います。症状に応じて内服療法も行っております。
ケミカルピーリング、イオン導入、院内製剤などニキビに効果のあるもののご提案も致します。
当クリニックでは、炎症のない初期のにきびから治療が可能です。ぜひご相談ください!
にきびは、生活スタイル(睡眠)や栄養バランス、ストレスなどが複雑に絡み合ってできやすくなります。
特に、食習慣は重要で、皮脂の栄養となりやすい脂肪分や糖分を過剰にとると、皮脂が毛穴に溜まり、ニキビが発症します。また、逆にカロリーを抑え過ぎることも肌に栄養が行き渡らないことになり、肌荒れからニキビができやすい状態につながります。
生活指導なども丁寧に行っております。
難治なニキビには漢方などの処方も行っております。
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
初期の炎症、小丘疹や小膿疱などの小型にきび
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
体力中等度以上で赤ら顔、ときにのぼせのある方のにきび、顔面、頭部の湿疹
荊芥連翹湯(けいかいれんぎょうとう)
体力中等度以上で皮膚の色が浅黒い方のにきび、慢性鼻炎など
桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)
比較的体力があり、肩こり、頭重、のぼせ、足冷え、生理不順、手荒れなどがある方のにきび、しみ
脂漏性皮膚炎
皮脂の分泌の多い場所(頭皮、おでこ、頬、鼻のまわり、耳のうしろ)などにできやすい湿疹です。皮脂や汗の分泌が増えると、マラセチアというカビの菌の一種が増えてフケ、かゆみなどの皮膚炎を起こすと言われています。
男性はホルモンの影響で皮脂が増えやすく、なりやすい疾患とも言えます。症状が長く続くと脱毛を引き起こしやすくもなります。ビタミンBの内服、ステロイド剤、抗真菌剤外用、シャンプーなどの併用により治療していきます。
赤ら顔
赤ら顔は、わずかな刺激で顔が急にほてる様に赤くなります。 顔にある毛細血管が拡張して血液の量が増えることが原因です。特に周囲の温度が上昇した時や人前に出て緊張した時、興奮した時などに症状が強く現れます。紫外線によって悪化することもあります。頬、鼻周囲などにできやすいです。
かゆみのトラブル
じんましん
じんましんは、赤くなったり、盛り上がったり、ブツブツしたり、繋がったり様々な形をし、強いかゆみを伴います。掻くと広がったり、数分から数時間程度で消えてしまったり、場所が移動したりする、動きのある発疹をいいます。
人がイラクサ(蕁麻(じんま))の葉に触れると、同様の皮膚症状が起こることからこの名前がつきました。ひどい場合には全身に広がったり、粘膜(目やくちびる)が腫れたり、息苦しくなったりすることもあります。
じんましんには、 一時的な「急性じんましん」と、再発を繰り返す「慢性じんましん」があります。慢性になるとなかなか治りづらく、内服が長期化することもしばしばあります。焦らずに定期的に通院していただき、状況に応じて治療していきます。
原因ははっきりとわからないことも多いですが、エピソードなどを伺って原因の可能性をお話します。アレルギー性のものと非アレルギー性のものがあります。アレルギー性のものは血液検査で調べることが可能な場合もあります。非アレルギー性のものには、機械的な圧迫や寒冷、温熱、紫外線などの刺激が原因になっていることがあります。詳しい検査を行っても原因がわからないことも多々あります。疲れや睡眠不足などの体調不良が関わっていることが多いと言われています。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎ってどんな病気?
かゆみを伴う乾燥性の湿疹が良くなったり悪くなったり繰り返し慢性の経過を取ります。
患者様の多くはアトピー素因をもつと定義されています。慢性の経過とは6ヶ月以上とされています。
アトピー性皮膚炎と乾燥肌
アトピー性皮膚炎では皮膚の乾燥症状がよく見られますが、それはなぜでしょうか?
一般に皮膚のうるおい成分は皮脂、天然保湿因子、角質間脂質という3つの物質によって保たれています。
ところが、アトピー性皮膚炎になると角質細胞間脂質と言われる物質が特に減ってしまうため、乾燥すると考えられています。
乾燥肌は刺激に弱く、放っておくと湿疹がさらに悪化します。夏は汗の刺激、冬は衣服の摩擦の刺激などでかゆみを誘発し、掻破につながります。こまめな保湿は重要なスキンケアになってきます。
アトピー性皮膚炎の治療
アトピー性皮膚炎の治療は、患者さんごとの症状に合わせて行いますが、
1、悪化させる原因の検索と対応(血液検査:View39 TARC)
2、スキンケア
3、お薬による治療
この3点を適切に組み合わせて進めていきます。
適切な治療をきちんと受ければ、いずれ治ったと同様の状態になることが可能です。保湿のみでよいのか薬を使用した方がよいのか微妙なバランスですが一人ひとりに合ったケアを見つけていくことが大切です。診察し患者様と相談しながら適切な治療を決めていきます。
当院では日本皮膚科学会ガイドラインに沿った治療を行っております。
皮脂欠乏性湿疹
皮膚表面の皮脂が減少すると水分量も減り皮膚がカサカサしてきます。すねや太もも、腰回りは症状が出やすい部位です。加齢や季節、生活習慣などで乾燥しやすくなります。乾燥して皮膚のバリア機能が低下すると炎症を起こしやすくなり、かゆみ、赤みなどの症状が出てきます。
しっかり定期的に保湿することが大事です。
かゆみ、赤みがでてきたらステロイド系外用剤を併用致します。
いずれの場合も、湿疹が現れた場合には、かゆみや炎症をおさえる薬で様子を見ながらその原因を突き止め、それぞれに合ったお薬を使用します。
なお、湿疹が出やすい方は、日常的に皮膚を清潔にすることを心がけ、症状が出やすい箇所に刺激物が触れないよう気をつけることも大切です。
その他
薄毛・抜け毛
AGAは「Androgenetic Alopechia」の略で男性型脱毛症の意味です。成人男性の額の生え際や頭頂部の髪が薄くなる状態のことです。
AGAの脱毛部位にはDHT(ジヒドロテストステロン)が高濃度に認められます。これがヘアサイクルの成長期を短くする原因物質と考えられています。デュタステリド配合のAGA治療薬は1型、2型両方の5-α還元酵素を阻害します。
多汗症
多汗症とは
特別な原因がなく、手足やわきなどの部分に日常生活に支障をきたすほどの汗を生じる病気です。社会的活動の盛んな若年、中年世代に多く見られる悩みです。気候や運動による温熱刺激と緊張やストレスなどによる精神的な刺激の両方が原因となって生じます。
このような症状はありませんか?
- 周囲の目が気になって仕事(学業)に集中できない
- 汗のにおいが周囲に不快感をあたえているのではないかと心配
- 汗染みが気になる
- 緊張すると汗が出はじめ意識するともっとでる
ボトックス注射(自費診療)
ボトックスは神経の末端から分泌されるアセチルコリンという伝達物質の分泌を抑制するという働きがあります。このアセチルコリンの分泌をボトックスを注入することで抑制し、過剰な汗の分泌を抑えます。
ボツリヌス菌がつくる天然のタンパク質を有効成分とする注射液です。使用する薬剤は無毒化されたものであり、使用する量も限られていますので心配はありません。
直接、ワキに注射していきます。
注射後大体1~2週間程度で効果が出てきて、大体3~4ヶ月くらい続きます。永久的に効果が持続するわけではありませんので、定期的な治療をお勧めいたします。
塩化アルミニウム ※自費診療
わきの下に塗るタイプの医療用制汗剤です。ボトックスに比較して持続時間が短いので週に2〜3回ほど、汗が出る部位に繰り返し使用します。徐々に効果が出てきます。自宅で気軽に始められます。
飲み薬(抗コリン薬、漢方薬)なども処方出来ます。